学び
2021.04.27
高校生は部活に打ち込むケースが多く、高3の夏まで部活動を頑張り、引退してから勉強に本腰を入れる人が少なくありません。残されたのは半年。この半年で逆転合格を目指すのは果たして可能なのでしょうか。
今回は半年という期間で逆転合格は可能なのかを探るとともに、改めて逆転合格とは何かを理解し、その方策を探っていきます。
逆転合格とはいったいどういうものなのか、その定義を今一度振り返ります。
ここで述べさせていただく「逆転合格」とはどういうものかですが、全く学力がない人がMARCHクラスの大学に合格することを指します。つまり、偏差値的に50を大きく下回るような学生が、猛勉強の末にMARCHに受かることを逆転合格とします。その行為が半年で可能なのかどうかを、この記事で探っていくというわけです。
では、全く学力がない人は偏差値的にどれくらいなのか。ここでは偏差値30近辺を想定します。MARCHクラスは偏差値60ぐらいが平均的なので、0からMARCHレベルへの合格を目指す場合、30~35あたりの偏差値上昇で逆転合格が見込めることになります。偏差値30から60へ、偏差値を倍増させていくような上昇を見せないといけません。
偏差値30から60を目指す逆転合格。それが半年の期間で本当に可能なのか、詳しく解説していきます。
基本的にゼロベースからMARCHクラスまで引き上げ、逆転合格を目指すにはどれくらいの期間が必要なのか。様々な意見がありますが、最低でもだいたい10カ月は必要であると主張する塾や予備校が出てきています。2月に一般入試があるので、4月から猛勉強を始めないと間に合わない計算です。半年で目指す場合、4カ月も足りないことになるため、かなり難易度が高そうなことがわかります。
本来10か月必要な作業を6カ月で完了させるというのは、相当な突貫工事であり、かなり無理をしなければ実現できないのではないかと誰しもが思うはずです。事実、0から挑戦した人の多くは失敗に終わり、浪人をしてようやく入れるような状態です。つまり、多くの人にとってこの挑戦は難易度が高く、不可能と断じても仕方ないくらい、かなり難しいと言えるでしょう。
半年で偏差値30を上げてMARCH合格を目指す、もはや絵空事のようにも思える逆転合格ですが、全く可能性がない0%の夢物語かといえばそうとも言いきれません。勉強量を大幅に増やし、勉強の質を高めていけば、可能性を高めることは可能です。もちろんそれをしても失敗することはあるでしょう。とはいえ、これが唯一の逆転合格の方法だとすれば、全てを託すだけの価値はあるはずです。
かなり難易度の高い、半年での逆転合格。ここからはどのように半年で逆転合格を目指すべきかの方向性をご紹介します。
まず大事なことは、半年での逆転合格を実現させるのに必要な計画作りです。前提として、模試などを受けて現状の実力を知るところから始めます。偏差値30ぐらいであれば、基礎がほとんどできていない状態なので、早急に基礎固めを行わなければなりません。その基礎固めをいつまでに終わらせるのか、いつから演習問題や過去問を取り組むのか、これを計画にまとめます。1人で計画を立てられない場合は学校の先生や友人、塾や予備校などに強力を仰いで、作っていきましょう。
立派な計画を完成させたらそれで逆転合格が実現する、そんなことはありません。立派な計画を確実に実行していかなければ逆転合格にはつながらないからです。計画を確実に遂行してようやく逆転合格への歩みが始まります。立派な計画は実行してこそのもの。特に他の人に協力してもらって、逆転合格への道筋をつけてもらったのであれば、その期待に応えることがその人たちへの恩返しでしょう。
偏差値30の状況だと、わからないことだらけになってしまっても仕方ありません。勉強が苦手な学生の中には、怒られたくないからと分かったフリをしてしまう人もいます。これを受験勉強でやってしまったら逆転合格は絶望的になります。ただでさえ時間がありませんが、わからないまま進んでしまうと時間のムダです。勇気を振り絞り、わかるまで進まないで勉強し続け、わかったらすぐさま進む覚悟を持ちましょう。
半年での逆転合格を目指すには、いくつか実現に向けたポイントがあります。どのように実現させていけばいいのか、ポイントをまとめました。
MARCHクラスの大学に入るのが逆転合格になっていくわけですが、国公立大学にも同じような偏差値の大学が全国に存在します。しかし、本当に逆転合格を狙う場合、私立大学に絞るのが賢明です。国公立大学の場合、5教科を課せられることがほとんどで、7科目も受けないといけないとなれば、かなり大変です。その点、私立であれば2教科ないし3教科で済みます。浪人をして国公立を目指すなら別ですが、現役で逆転合格を目指すとなると私立に絞ることをおすすめします。
私立大学では多くの受験生に受験してもらおうと、様々な受験方式が存在します。例えば自己推薦入試であれば部活で結果を出している学生の場合、出願要件を満たしているのであっさりと逆転合格を実現させることもできます。また共通テスト方式を始め、負担が軽く、少ない科目数に特化した受験方式も存在します。全ての受験方式を吟味し、少しでも効率よく逆転合格が狙える受験方式を模索しましょう。
逆転合格につなげられた人たちの傾向を見ると、事細かく進捗管理を行い、現状の学力を克明に記録し、現状把握に努めている人が目立ちました。孫子という兵法書には「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。敵の実力を知る、そして自分自身のことをしっかりと把握して挑めばどれだけ戦っても勝てるという意味です。この場合は、逆転合格を目指す大学のことを知る、そして、自分自身の現状を正しく把握すること、これを徹底すれば合格が狙えるということになります。受験方式を調べ上げる、傾向を知る、その上で自分の学力を高めていく、これができれば合格に近づくはずです。
半年で逆転合格をするためにはどれくらいの勉強時間が必要なのか。ここでは半年で行うべき勉強時間を、平日と土日祝日に分けて解説します。
半年ではなく、10ヶ月でMARCHを目指す場合に必要な平日の勉強時間はだいたい5時間程度です。半年に置き換えて計算すると、6ヶ月は5/3倍すれば10ヶ月になります。5時間×5/3をすると、平日の勉強時間は8時間20分になるので、この時間が1つの目安になるでしょう。この8時間20分はあくまでも単純な計算の結果によるものですが、だいたい7時間から9時間のあたりで勉強時間を考えていくのが理想的です。
土日祝日の場合、10カ月でMARCH合格を目指す人はだいたい8時間や9時間を想定して勉強を行う傾向にあります。先ほどのように計算を行うと13時間20分から15時間という勉強時間になります。これを踏まえ、12時間から16時間の中で半年間行っていくのがいいでしょう。16時間勉強する場合、残りの時間は8時間しかなく、その中に食事やお風呂、睡眠が含まれるので、必要最低限の自由時間以外はすべて勉強に専念することになります。
10カ月かけてMARCH合格に向けて勉強をする人は1500~2000時間の勉強を行っていきます。この水準に到達するには、半年間で1500~2000時間の勉強時間を確保しなければなりません。365日の半分、182日と想定すれば2000時間の勉強時間を確保するには1日平均11時間以上は必要になり、先ほどの平日と土日祝日の勉強時間にも合致するはずです。勉強時間から考えても相当大変であることは明らかですが、逆にこれを完遂させれば、10カ月かけて勉強してきた人たちに追い付きます。受験のタイミングでほとんど差がない状態で挑めるというわけです。
土日祝日は最大16時間の勉強をすることになる、これこそが半年での逆転合格を目指すにあたって、克服すべき壁になります。16時間勉強をする覚悟はあるのか、そう尋ねられて自信を持ってその覚悟があると言える学生はどれくらいいるのでしょうか。しかも、平均11時間の勉強を半年間、1日も休まずにやり切ることも相当大変なことです。そして質を極めていくことも欠かせません。大変な道のりですが、決して不可能ではないことがお分かりいただけるでしょう。すべては逆転合格を目指す本人の覚悟にかかっています。